【豊栄の家】③ 屋根を全部やり替えた理由。瓦の下に隠れていたこと
1974年10月13日生まれのO型。平和主義者のてんびん座。生粋の地元人で、八本松小学校、八本松中学校、賀茂高校、福山大学を卒業。大工として弟子入りし修行を積んだ後、6年後に独立。その後、二級建築士を取得し、設計事務所を立ち上げる。現在はホームクリエたくみで設計・施工・管理を担当し、お客様が心から喜びを感じる家づくりのお手伝いをしている。 プライベートでは三姉妹の成長を見守る父として日々奮闘中。
1974年10月13日生まれのO型。平和主義者のてんびん座。生粋の地元人で、八本松小学校、八本松中学校、賀茂高校、福山大学を卒業。大工として弟子入りし修行を積んだ後、6年後に独立。その後、二級建築士を取得し、設計事務所を立ち上げる。現在はホームクリエたくみで設計・施工・管理を担当し、お客様が心から喜びを感じる家づくりのお手伝いをしている。 プライベートでは三姉妹の成長を見守る父として日々奮闘中。
前回(豊栄の家②)は、内部の解体工事で発見した
構造上の問題についてお伝えしました。
今回は屋根の工事について書きます。
この物件で最初に手をつけた工事のひとつが、
屋根の全面葺き替えでした。
なぜ屋根から始めたのか
古い民家の改修工事では、屋根と外壁を先に直すことが基本です。
雨が建物の中に入り続けている状態では、
内部をいくら丁寧に直しても、また傷んでいくからです。
この物件も、まず屋根の状態を確認することから始めました。
足場を組んで屋根の上に上がると、赤茶色の瓦が整然と並んでいて、
外から見る限りはそれほど傷んでいるようには見えませんでした。
ただ、瓦の状態よりも気になったのは、屋根の「隅」(すみ)の部分でした。
下り棟と隅棟が交わる箇所は、雨水が集まりやすい構造になっています。
ここに長年にわたって水が回っていた可能性があると感じていました。

瓦を外してみて分かったこと
瓦を撤去して、下地の板(野地板)を確認したところ、予想以上の傷みが見つかりました。

野地板が腐朽し、一部は触るだけで崩れてしまうような状態でした。
部分的ではなく、屋根全体にわたって傷みが広がっていたため、
部分補修では対応できないと判断しました。
雨漏りの痕跡は室内の天井裏にも及んでいました。

古い民家の雨漏りは、「雨漏りしている」と気づきにくいことが多いのが特徴です。
室内の天井に染みが出て初めて気づく、というケースも珍しくありません。
今回のように、外観上は問題なく見えていても、下地がここまで傷んでいることがあります。
これが、屋根を全面的に葺き替える判断をした理由です。
新しい屋根の作り方
葺き替えにあたっては、まず傷んだ野地板の取り替え。
その際に、野地板のさらに下にある垂木と呼ばれる下地材も
痛んでいるところは取り替えました。
その上で、古い野地板の上に新たに垂木をならべて空気の通る道(通気層)を設け、
コンパネ(構造用合板)を野地板として敷き直しました。

通気層を設けた理由は、屋根の湿気を逃がすためです。
断熱をしっかり行っても、屋根内部に湿気がこもる環境では結露をおこしてしまい、
また同じように傷みが進んでしまう可能性があります。
その対策として、軒先から屋根のてっぺん(棟)へと抜ける空気の通り道をしっかり作ることで、屋根の内側を常に乾いた状態に保てるようにしました。
コンパネを敷いた後は、雨水の侵入を防ぐために、防水シート(改質アスファルトルーフィング)を全面に張りました。
これが屋根の防水の要になる工程です。

仕上げ材にはガルバリウム鋼板を選びました。
耐久性が高く、軽量で建物への負担が少ない素材です。
古い民家の改修では、屋根を軽くすることが耐震性の向上にもつながります。
瓦はどうしても重くなるため、葺き替えの際にガルバリウム鋼板を選ぶことは、
長期的な建物の安全性という観点からも合理的な判断です。
端部の処理こそ、丁寧に
屋根工事で特に気を使うのが、端部(水切り)の処理です。
屋根の端は雨水が最も集中する場所であり、ここの施工が甘いと、
どれだけ本体をしっかり作っても雨漏りの原因になります。

端部はガルバリウム鋼板と防水シートの取り合いを一箇所ずつ確認しながら施工しています。
雨水の逃げ道を正確に作ることが、この工程の目的です。
屋根工事は、完成してしまうと中の工程は一切見えなくなります。
だからこそ、見えなくなる前の状態を写真に記録しておくことを、私は大切にしています。
次回は、屋根工事中に起きたある出来事についてお話しします。
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