注文住宅で予算オーバー…原因や削るべきところ&削らないところとは
1974年10月13日生まれのO型。平和主義者のてんびん座。14歳を筆頭に、11歳、7歳の三姉妹を持つ絶賛子育て中の44歳。八本松小学校、八本松中学校、賀茂高校、福山大学卒という生粋の地元人。大工として弟子入りし修行を積み、6年後に独立、その後二級建築士を取得して設計事務所を立ち上げる。現在はホームクリエたくみで設計・施工・管理を担い、お客様が心から喜びを感じる家づくりのお手伝いをしている。
1974年10月13日生まれのO型。平和主義者のてんびん座。14歳を筆頭に、11歳、7歳の三姉妹を持つ絶賛子育て中の44歳。八本松小学校、八本松中学校、賀茂高校、福山大学卒という生粋の地元人。大工として弟子入りし修行を積み、6年後に独立、その後二級建築士を取得して設計事務所を立ち上げる。現在はホームクリエたくみで設計・施工・管理を担い、お客様が心から喜びを感じる家づくりのお手伝いをしている。
目次
なぜ?注文住宅で予算オーバーする原因とは
家づくりの際に予算がオーバーしてしまったという話はよく耳にするかと思います。では、注文住宅を建てる際にどれくらいの方たちが予算オーバーをしているのでしょうか?
私の経験上、ほとんどの方が経験していると思います。
今回は、注文住宅で予算オーバーをしてしまう原因やポイントを解説してまいります。
注文住宅を建てる費用の相場を知らない
家づくりにあたり、「予算はいくらぐらいですか?」という問いに、東広島で家づくりを考えている方の答えは、3000万円~3500万円くらいと答える方が多い印象があります。この金額の根拠は何なのでしょうか?
私が思うに、新聞や広告に載っている分譲住宅の金額を目にしていてその金額が基準になっているように思われます。
しかし、新聞や広告に載っている分譲住宅の金額でマイホームが手に入るとは限りません。
家を購入するには建物や土地以外にもお金がかかります。
家を購入するにあたり、住宅ローンを組まれる方が大半です。その住宅ローンを組む際にも、銀行の事務手数料、住宅ローン締結の際の印紙代、場合によっては保証料を現金で支払う場合もあります。
その他にも、家や土地の登記費用、火災保険、引っ越しにかかる費用など、家づくりには家そのもの以外にもお金がかかるものです。
その家以外にかかる諸費用を事細かく調べて、相場で大体いくらくらいになるのかを把握されている方は、少数派なのではないでしょうか。
そのため家づくりの際には当初の予算よりもオーバーしてしまうことは致し方ないように思います。
理想を叶えようとこだわりすぎている
夢のマイホームですから、いろいろなものにこだわりたくもなると思います。
良いものほど、人の手間暇がかかっているものです。
結論から言いますと、よいもので安いものはありません。
良いものを望むのであれば、それなりにお金がかかることを覚悟しておかなければ、必ず予算はオーバーしてしまいます。
ランニングコストを考慮していない
家は建てた後、メンテナンスにお金がかかり続けます。
細かいところでいえば、吸気口等のフィルター、大きなところでいえば10年から15年後に外壁の塗り替え、こちらは大体150万円から200万円ほどかかります。太陽光発電を設置していれば、パワーコンディショナー(パワコン)の交換、(こちらは約15万円)などが挙げられます。
それ以外にも、固定資産税も見落としがちなコストになり、これらも考慮に入れて家を購入しなければいけません。
補助金などの国・自治体の制度を調べていない
家を購入する際に、国や自治体の補助金を活用することができる場合があります。
2024年6月現在、新築の場合、その代表的な補助金は、国による「子育てエコホーム支援事業」になります。
国としては、断熱性能を高めて、CO2の削減を目指していたり、少子化対策のための支援策であるため、ある程度の性能が家に求められたり、子育て世帯であったり、お施主様の年齢などの条件がいくつかありますが、新築で最大100万円の補助が受けられます。
このような補助金がいくつかありますが、基本的に、お金が国から出ているもの出ているものは、重複して受けることはできません。
子育てエコホーム支援事業のほかに、自治体の補助をさらに受けようとしても、自治体が国からの補助金を原資に行っている補助金であればどちらかしか、受けることはできません。
東広島市スマートハウス化支援補助金のように自治体が独自で予算を組んで取り組んでいる補助金は、子育てエコホーム支援事業のような国の補助金と重複して受けることができるものがあります。
土地に想像以上に費用がかかった
物価の上昇に加え、土地の値段も上がり続けている東広島市。特に寺家界隈は、ここ10年ほどで坪単価が倍以上になっている地域もあります。
今後、八本松に高速道路のスマートインターも整備されることもあり、さらに地価が上がることが予想されます。そのため、思っていた以上に土地の購入に予算がかかってしまったというケースが良くあります。
金額が安くても、市街化調整区域という場所になるとそもそも家が新たに建てられない区域になるため建てられないまでも、その土地に家をための申請手続きが必要になり、数十万円という単位で費用が掛かります。
このように、相場よりも安い土地は何かがあると考えておく必要があります。
注文住宅の予算オーバーは防げる!ポイントをご紹介
注文住宅は分譲住宅に比べて自由度が高い分予算の変動も起こりがちですが、抑えておきたいポイントがいくつかあります。
住宅ローンはあらかじめ仮審査を通しておく
土地と建物を計画すると概算の見積もりが出来上がり、予算がいくらくらいになるかがわかります。
いざ、住宅ローンを借ります、と銀行へ手続きを行うと、思ったような借り入れができない。そうなるとまたプランを作り直す必要があります。
そうなると、今までかけた労力も時間も無駄になってしまいます。
事前に自分に銀行がいくら住宅ローンを貸してくれるのかを把握するためにも、銀行で仮審査を申し込んでおきましょう。
事前に、住宅ローンでいくら借りる、自己資金でいくら用意できる、など総予算を把握しておいてから、家にいくらくらいかかるかの概算予算を出し、その後余った金額で土地を探すという手順を踏むことができれば大きく予算を超えることを防ぐことができます。
ただし、銀行によっては、土地も建物も計画できてから資金計画表を基にではないと仮審査を受け付けてくれないところもあります。そのため、何行か仮審査をお願いしないといけないかもしれません。
ファイナンシャルプランナーに返済シミュレーションをしてもらう
銀行で、仮審査の結果が出たとします。おお、こんなに貸してくれるのかと、大盤振る舞いな計画を立てていると後々、返済が大変になる可能性もあります。
そのため、第三者の目で家計とライフプランをみてもらうことをお勧めします。
その第三者というのが、「ファイナンシャルプランナー」という資格を持った方たちです。
家の購入のほかにもお金はかかります。子供の教育資金、車の買い替え、家の修繕費、日々のイベント(旅行や帰省)といったお金にまつわることをすべて洗い出してもらい、今後のお金の流れを表などで可視化することで、いつ、いかほどお金を要ししておく必要があるかが把握でき、漠然としたお金の不安を減らすことができます
初期費用だけでなくランニングコストを考慮する
前にも書きましたが、家を建ててから15年後ぐらいに外壁の種類によっては塗り替えが必要になります。その金額は大体150万円から200万円。金額だけ見ると、「はぁはぁ、なるほど」といった感じですが、この150万円を15年で貯めておこうと思うと、建てた直後から、月々約8,000円修繕費としてため始めないといけません。当初の建築費に例えばプラス100万円でメンテナンスがほぼかからないような外壁材にしておけば、生涯でかかるコストとしては大幅に下がります。
この他にも、断熱材やサッシのグレードを上げて、家自体の性能値を上げて、光熱費を下げることができれば、こちらも障害コストを大幅に下げることができます。
住宅ローンなどは35年から40年で払い終わりますが、光熱費は家に住み続ける限り払い続けなければなりません。
初期費用にかけられる金額に限界はありますが、生涯でかかるコストも考えて、どこにお金をかけるかよく考える必要があるとも思います。
年齢や家族構成などから本当に必要であるか考える
子供たちは、成長していきますし、親世代は年をとります。
子供たちが小さなうちに、家づくりをする場合が多いので気づきにくいのですが、子供たちは小さなままではありません。ベビーカーなどの一時的に必要なものの置き場をあえて設けておく必要はないかと思います。
広い庭も子供が小さなうちは何もない状態で自由に遊べれば理想的です。
しかし、何もない庭には雑草が生えます。この雑草対策も年を取ってからもやり続けるのは大変です。
子供たちのためには、何もしないでおくわけではなく、必要がなくなった後、どのように活用するかを考えておく必要があります。
注文住宅の予算オーバー時に削るものとは
注文住宅を建てるのであれば、こだわりたいところにはこだわるべきだと思います。そして、優先順位をつけて、妥協できるところは妥協してコストを下げることも重要になると思います。
家の外観
家は、屋根や壁、基礎などは、凸凹ができると手間が増えるため費用が多くかかってしまいます。真四角で総二階の家が費用的に抑えられて、構造的にも強いものになります。敷地の形状にもよりますが、基本的な形は四角。構造と費用が許せばそこからかたちを変えていくようにすることが良いかと思います。
家の設備や性能
家にかかわる設備の中で「これっている?」と思ってしまう設備もあります。
その一つが、浴室暖房乾燥機・・・これは個人的な意見なのですが、家の性能が高ければ必要がないと思います。10年後に有料の点検も必要になります。
ユニットバスの中をドライヤーで強制的に温めて、暖房したり、衣類を乾燥させたりするものなので、多くのエネルギーを消費してもいます。
冬の過乾燥を防ぐためにも、部屋干しをしてもらいたい私としては、削ってよい設備の一つです。
それと、悩ましいのが、太陽光発電システム。
無くても生活はできるのですが、あれば今後上がることが予想される電気代。ないよりはあった方が、長い目で見るとあった方が得です。
しかし、安いものではありませんし,後から載せることも可能であるため、予算次第では削るものになります。
水回り
水廻りの中でも予算を抑えることができるものが、トイレです。
これは、最初にタンクレストイレを計画していた場合なのですが、タンクレストイレは純粋に値段が高いということもあるのですが、タンクレスということもありトイレに手洗い器がついていません。
そのため、トイレの中に手洗いを別で設けるようになるのですが、トイレ本体が高額となり、更に手洗いを別で設ける費用となるため、これをタンク付きの手洗い器付きのトイレに変えればコスト下げることができます。
収納
収納スペースは多くあるに越したことはありません。わかります。しかし、収納スペースを作るにしても費用は掛かります。坪単価が仮に80万円かかっていたとすると、畳2畳分の収納の金額も80万円。これは極端な例えではありますが、80万円出せば庭に置くタイプのある程度良質な物置を買うことができます。
その物置は固定資産税の対象にはなりません。
本当に必要なもののためであれば、収納スペースを作って、そこの場所の固定資産税も払わなければいけませんが、本当に必要なものでなければ、外の物置に収納しておくのも一つの手段です。
キッチンやお風呂
キッチンやお風呂は毎日使うところでもあるため、いつまでも使い続けることもできません。そのため、交換も考えておかないといけないのですが、これは、交換することもできるとも言えます。機能的なキッチンやお風呂は魅力があります。そして、家の予算の中でもかなりのウエイト閉める部分でもあります。どうしても譲れないこだわりがあれば別ですが、ここは将来交換もできると考えて妥協することもできるところでもあります。
外構
外構工事はどうしても家づくりの中で最後の工程になってしまうため、予算削減のしわ寄せを大きく受けるものになります。
お庭は将来落ち着いてから手をくわえましょう、そのため、まわりのフェンスやアプローチだけで生活はできます。
ただ、いつ落ち着くのかと問われると明確な答えは出せません。家を計画するときにはリビングやキッチンから見える庭も想定して考えるため、家づくりの一環として庭まで作ることができれば理想的ではありますが、どうしても削りがちな部分でもあります。
注文住宅の予算オーバー時に削らないものとは
長年家づくりや、リフォームに携わってきましたが、ここの予算は削らないでおきたいところがいくつかあります。
あとから変えることのできないもの
後から帰ることができないというよりも、変えようと思うととても大変なものは最初から予算をかけてよいものを選択しておくべきだと思います。
具体的に申しますと、「断熱材」「サッシ」になります。
これらは、将来取り換え用と思えば取り換えることはできるのですが、断熱材は、部屋の中の外部に面する壁を壊さないと取り換えることはできませんし、床下の断熱材は、どこか床に穴をあけなければ断熱材を入れることもできません。
天井の断熱材も一度天井を壊してしまわないと断熱材を入れることができない形状の屋根もあります。
サッシも外壁を一部壊さなければ交換はできません。窓によっては、「カバー工法」という方法で、サッシの枠はそのままで、高性能なサッシに交換する方法もありますが、サッシのガラスの面積は小さくなってしまい、開放感が失われる場合もあります。
これらの工事を済みながら行おうと思うと・・・考えるだけでも大変です。
サッシや断熱材に予算を割いて、家の性能を上げると、光熱費が下がるだけではなく、家の中の環境も快適になります。ぜひともここはケチらないでいただきたいところです。
防犯に関するもの
今、玄関がものすごく進化しています。鍵がいわゆる「鍵」だけではなくカードキーであったり、スマートホンで開いたり、鍵を持っていれば触れば鍵が開いたり、顔認証で鍵が開くものも出てきました。
さらに、インターホンが家のネット環境とリンクして、外出先でもインターホンに出られたり、子供が学校などから帰ったときに離れた場所から鍵を開けたりすることができます。特に子供が小さいときに家のカギを持たせなくても済むので安心です。
トータルで考えたときにコストが低いもの
外壁につきましては、「サイディング」という材料を使うとコストが下がります。ただし、このサイディングを採用すると多くの場合、10~15年で外壁の再塗装が必要になります。これは、外壁の防水性が低下したり、ジョイント部分に使われている「コーキング」と呼ばれる部材が紫外線などの影響で劣化してしまったり、防水性が損なわれてしまうためで、再塗装や、コーキングの打ち替えが必要になります。
この再塗装の工事は大掛かりなものになります。外壁全体を塗装しなおすのですから、足場を設置して、外壁を高圧洗浄したのち、塗料外壁につきやすくするために接着剤のようなものを家全体に塗り、コーキングを打ち替え、家全体に塗装を施す。
前にも書きましたが、工事にかかる費用は150万円から200万円かかる工事になります。
しかも、10~15年ですから、30歳で家を建てて、平均寿命まで住み続けるとなると、この工事を2回から3回行わなければいけないことになります。
そうなると、最大、200万円×3=600万円
初期費用は上がるのですが、漆喰やガルバリウム鋼板といった部材を選択するとメンテナンスにかかる費用が抑えられるため、生涯でかかるトータルのコストは大きく抑えることができます。
予算を組む段階で、余裕があるのであれば、生涯でかかるトータルのコストが下がるような計画をお勧めします。
こだわりの優先順位が高いもの
これまでは、客観的にここにお金をかけると損をしないといったものをあげてきましたが、とは言え注文住宅です。どうしてもこだわりたいところは予算をかけるべきだと思います。お客様から、その熱意が感じられれば、私としては何とかしてかなえてあげなければと思いますし、なんといっても夢をかなえるまでのプロセスは楽しいものです。妥協が必要な時もありますが、譲れないものはありますからね。
予算オーバーせずに理想の注文住宅を叶えるのならホームクリエたくみへ
家づくりにおいて私たち実務者は、客観的な意見と情報の提供を行う必要があります。そうしないと、夢のマイホームが夢で終わってしまいますからね。
でも、いろいろ、マイホームには詰め込みたいあこがれが、人それぞれあると思いますし、ある方たちが注文住宅を希望されているのだと思っています。その希望と予算のバランスをとるのが私たち実務者になります。
ここをこだわるとこちらに無理が生じますがどうしますか?といった会話を進めていくうえで一つの家が形になります。そのような、家づくりをお手伝いできればと思います