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【注文住宅】耐震性に優れた家を!基礎知識&安心な家づくりをプロが解説

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記事の監修 代表取締役 森本 一喜

1974年10月13日生まれのO型。平和主義者のてんびん座。生粋の地元人で、八本松小学校、八本松中学校、賀茂高校、福山大学を卒業。大工として弟子入りし修行を積んだ後、6年後に独立。その後、二級建築士を取得し、設計事務所を立ち上げる。現在はホームクリエたくみで設計・施工・管理を担当し、お客様が心から喜びを感じる家づくりのお手伝いをしている。 プライベートでは三姉妹の成長を見守る父として日々奮闘中。

1974年10月13日生まれのO型。平和主義者のてんびん座。生粋の地元人で、八本松小学校、八本松中学校、賀茂高校、福山大学を卒業。大工として弟子入りし修行を積んだ後、6年後に独立。その後、二級建築士を取得し、設計事務所を立ち上げる。現在はホームクリエたくみで設計・施工・管理を担当し、お客様が心から喜びを感じる家づくりのお手伝いをしている。 プライベートでは三姉妹の成長を見守る父として日々奮闘中。

注文住宅をはじめ住宅の話題でよく聞く『耐震性』とは

注文住宅を検討する際によく耳にする「耐震性」。地震大国・日本では特に重要な要素です。
幸いなことに、私たちの住む広島県は地震による被害の少ない地域であるため、耐震に対する関心は低いようです。
しかし、地震はいつ、どこで起きても不思議ではありません。
だからこそ、家づくりにおいて最も大切なのは「安全」を確保することだと考えています。

この記事では、耐震性の基礎知識と安心して暮らせる家づくりのポイントをプロの視点から解説します。

耐震等級とは

「耐震等級」は、家の地震に対する強さを数値で示したものです。
地震のとき、どれくらい建物が安全かをあらかじめ知ることは難しいですよね。
そこで、「住宅性能表示制度」という仕組みによって、建物の耐震性を等級(1~3)で分かりやすく示すことができます。

耐震等級1

耐震等級1は、現在の建築基準法(200061日施行)に基づいて建てられた住宅の最低限の耐震基準です。
この等級の家は、

  • 震度5程度の地震では損傷しない
  • 震度6強程度の大地震でも、すぐに倒壊・崩壊しない

ということを基準に設計されています。
つまり、「命を守る」ことを目的とした最低限の基準であり、建築確認を通った一般的な住宅はほとんどがこのレベルに該当します。

耐震等級2

耐震等級2は、耐震等級1(建築基準法の最低基準)で想定される1.25倍の地震力に耐えられる住宅です。

  • 学校や病院など、災害時にも避難場所になる公共施設と同等の強さ
  • 震度6強~7クラスの地震でも倒壊しにくく、損傷も抑えられる

とされています。

 

耐震等級3

耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の地震力に耐えられる、最高ランクの耐震性能です。

  • 警察署・消防署などの防災拠点施設と同等の強度
  • 大地震のあとでも「住み続けられる家」を目指した設計

とされており、熊本地震の際、公的な調査で、耐震等級3の木造住宅(16棟)のうち

  • 無被害:14棟
  • 軽微・小破:2棟
  • 倒壊・全壊:ゼロ

という結果でした。
これは、震度7の激しい揺れが2度あったにも関わらず、耐震等級3住宅が非常に高い安全性を保ったことを示しています。

地震に強い家の構造とは

家の耐震性は、見た目だけでは判断できません。
本当に地震に強い家を建てるためには、目に見えない“構造”こそが最も重要なポイントです。
この章では、家の構造がどのように耐震性に関わっているのかを、建築のプロの視点から分かりやすく解説していきます。

免震

免震構造とは、地震時に建物に揺れが伝わらないよう、建物と地盤の間に特殊な装置を設置する方法です。
地震の揺れが建物に直接届かず、「ゆっくり優しく揺れる」ことで、建物や家具へのダメージを大幅に減らします。

制震

地震の揺れは建物に「振動」として伝わりますが、そのエネルギーをダンパーが吸収することで、建物の揺れ幅を抑え、倒壊や損傷のリスクを軽減します。

耐震

耐震構造とは、建物そのものの「柱」「梁」「壁」などの骨組みを強化することで、地震の揺れに耐えられるようにする構造です。
建物を「ガッチリと固める」ことで、揺れによる変形や倒壊を防ぐ考え方です。

 

免震・制震・耐震どれにも言えることですが、設計の際に、強化する場所をバランスよく配置することが大切になります。

地震に強い家の工法とは

地震に強い家とは、どのような建て方をした家でしょうか?

ここでは、家の構造について説明をさせていただきます。

 

木造

日本で最も一般的な家の構造になります。
柱や梁・桁などを使ったものを在来工法といい、壁などをパネル状にして組み立てる2×4工法などがあります。

メリット

  • コストが比較的安い:材料費・工事費ともに他構造に比べて抑えられる。
  •  設計の自由度が高い:間取りや外観の要望に柔軟に対応できる。
  •  断熱性が高い:木材自体が断熱性を持つため、快適性に優れる。
  •  地震に強くできる:耐震等級や制震装置などで性能を高めることが可能。

デメリット

  • 経年劣化・湿気への配慮が必要:防蟻処理や換気計画が重要。
  • 火災に弱い印象を持たれやすいが、近年は耐火構造の木造も多い。

鉄骨

鉄骨を柱や梁に使う工法で、戸建て住宅では、プレハブメーカーの住宅などでよく見られる工法になります。

メリット

  • 耐震性が高い:鉄骨は強度が高く、揺れに粘り強く対応する。
  • 開口部が広くとれる:柱や壁が少なくても構造が成立する。
  • 耐久性が高い:腐食に注意すれば長寿命。

デメリット

  • コストが高め:木造よりも材料・施工費用がかさむ。

断熱・結露対策が必要:鉄は熱伝導率が高いため、しっかりした断熱施工が重要

RC造

RCとは鉄筋コンクリートのことで、とても強固な構造の建物になります。

主にマンションや公共施設などで使われますが、戸建て住宅でも使われています。

メリット

  • 耐震性・耐火性に非常に優れる:地震や火災にも極めて強い。
  • 気密性・遮音性が高い:隣家や外部の音が気になりにくい。
  • 変形しにくい:地盤の揺れに対して安定性が高い。

デメリット

  • コストが最も高い:材料も施工も専門的で価格が高め。
  • 工期が長い:乾燥期間などに時間がかかる。
  • 重いため地盤改良が必要

耐震性にこだわるメリットをご紹介

家づくりを考える上で、「耐震性」は命と財産を守るための最も重要なポイントのひとつです。
大きな地震が起きたとき、倒壊しない家であることはもちろん、その後も安心して住み続けられる家であることが大切です。
耐震性にこだわることで、単に「壊れない」だけでなく、暮らしの継続性、資産価値、家族の安心感まで得ることができます。
ここでは、具体的なメリットをあげていきます。

いつ起きるかわからない地震への備えになる

日本は世界でも有数の地震大国。地震は予告なく、突然私たちを襲います。

2016年に発生した熊本地震の発生の前にも、地震への注意喚起や予測は一部で行われていました。しあし、あれほど大規模かつ連続的して震度7の地震が起こることは、ほとんど想定されていませんでした。
それに、広島県同様、内陸型地震のリスクがまったくないわけではなかったものの、住民の多くは「熊本では大地震は起きにくい」と感じていたのが実情です。
そのため、備蓄や家具の固定、住宅の耐震性確認を行っていた家庭は限定的で、「備えの不足」が被害拡大につながったとする分析もあります。

 

このように「備えておく」ことは、家族の命と生活を守る大切な準備です。
耐震性の高い家づくりは、“万が一”を“安心”に変える、将来への備えとなります。

地震以外の災害対策にもつながる

災害は地震だけではありません。
私たちが暮らす広島県では、過去にも多くの台風や豪雨災害に見舞われてきました。中でも、近年では2014年の広島市土砂災害、2018年の西日本豪雨など、大きな被害が記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。

そんな中で注目されているのが、「地震に強い家」は台風やその他の自然災害にも強い傾向があるという点です。

耐震性を高めた家は、構造体(柱・梁・基礎)をしっかり計算し、強化して建てられています。
これにより、強風や飛来物、長時間に及ぶ雨風にも耐える骨組みの強さ
が備わるため、台風や強風被害のリスク軽減にもつながるのです。

また、気密性・断熱性の高い住宅では、屋根や外壁の施工精度も高くなる傾向があり、これも強風や豪雨に対する安心材料になります。

金銭的な負担を抑えられる

「耐震性の高い家」と聞くと、「工事費が高くなりそう…」と感じる方も多いかもしれません。確かに、耐震等級1の家より耐震等級3の家の方がコストはかかります。
しかし実際には、初期費用以上の金銭的メリットが得られる制度や仕組みが用意されています。

例えば、地震保険です。
火災保険は、住宅ローンを組むときに必ず入らないといけないのですが、地震保険については任意にはなります。では、何のために地震保険をかけるのか?
それは、火災保険では、地震、津波、噴火を原因とする火災、損壊、埋没などについては保証されません。それらの災害時の補償のために入る保険が地震保険になります。

この地震保険が、耐震等級3の家を建てることで50%割引が受けられる保険もあります。

その他に、長期固定金利の住宅ローン「フラット35」では、耐震性を含む一定の住宅性能を満たすと金利の引き下げが受けられる制度があります。特に下記のような優遇が設定されています。

  • 「フラット35S(耐久性・耐震性などに優れた住宅)」に該当すれば
    当初10年間、金利が年0.25%引き下げ

たとえば3,000万円の借入を1.5%→1.25%にできれば、
10年間で約50万円程度の金利軽減になります。

 

補助金を活用できる

耐震を高めるということは、新築に限った話ではありません。

リフォームでも耐震に取り組むべきだと私は思います。

補助金については、リフォームの方が充実しているようです。

  • 耐震改修促進税制
    耐震改修工事費の約10%(上限25万円)を所得税から控除可能。さらに、工事後の固定資産税も1年間、半額に軽減できる場合もあり ます。
  • 長期優良住宅化リフォーム推進事業
    インスペクション・維持計画作成・耐震性や省エネなどの性能向上を伴うリフォームなら、補助率1/31戸あたり最大100万円〜250万円の支援が受けられます 。

その他に、各自治体独自の補助金もあり、

東広島では、

  1. 木造住宅の耐震改修に対する補助金

制度名:東広島市民間木造住宅耐震改修等補助事業

  • 補助内容:現地建替えまたは改修工事費の80%を補助、上限 100万円
  • 対象:木造住宅の所有者が行う工事(居住誘導区域内に限る)

東広島市木造住宅耐震改修等事業補助金交付要綱

広島市では、

といった補助金があります。

耐震性にこだわるデメリットをご紹介

耐震性能の高い住宅は、地震に備えるうえで非常に安心できる選択肢です。しかし、すべてが「メリット」だけというわけではありません。計画段階で知っておくべき注意点や、こだわりすぎることによって発生する可能性のあるデメリットもあります。ここでは、代表的な3つの注意点を紹介します。

建築コストが高くなりやすい

耐震性を高めるためには、構造材の増強や壁の配置、金物の追加、施工の精度などにコストがかかります。
また、耐震等級23を取得するための申請・検査費用も必要となり、結果的に全体の建築費用が割高になる傾向があります。
長期的に見れば安心感という価値がありますが、予算計画には十分な余裕をもたせておくことが大切です。

 

広さや間取りなど希望が叶わない可能性がある

耐震性を優先すると、壁の位置や柱の配置に制約が出てきます。例えば、大空間のリビングや吹き抜け、柱の少ないオープンな間取りなどは構造的に不利になり、設計変更を余儀なくされることもあります。
間取りの自由度と構造安全性は両立できない場合もあります。
ただ安全を犠牲にした間取りというものは、私としてはお勧めできません。

 

依頼時に決めておく必要がある

耐震等級を取得するためには、設計段階から構造計算を含めた明確な設計意図が必要です。
建築途中で「やっぱり等級を取りたい」となっても、対応が難しいケースがあります。そのため、建築会社との打ち合わせ段階で「どの程度の耐震性能を求めるか」を最初からはっきり伝えることが重要になります。

注文住宅でさらに耐震性にこだわるためにできることをご紹介

耐震等級や構造材の選択だけではなく、注文住宅ならではの自由度を活かして、地震への備えを多方面から強化することが可能です。
ここでは、住宅の構造や設備面から実施できる耐震性強化の具体的な工夫をご紹介します。

基礎工事

耐震工事において、基礎工事はかなり重要なポイントになります。
家の揺れを最終的に地面に逃がすためには、強固な基礎が無ければ実現できません。
ベタ基礎や布基礎の構造をしっかり検討することで、建物全体の揺れに対する安定感が高まります
鉄筋の配筋密度やコンクリートの厚みなど、目に見えにくい部分こそ重要です。
耐震性を考えるなら、信頼できる施工と検査体制が不可欠です。

 

 

地盤改良

どれほど耐震性に優れた構造でも、地盤が弱ければ建物は大きなダメージを受けてしまいます
事前に地盤調査を行い、必要であれば「柱状改良」「表層改良」「鋼管杭」などの地盤補強を実施します。
地盤の強さは地震時の揺れ方に直結するため、耐震性の第一歩といえます。

 

 

太陽光発電

一見、耐震とは関係ないように思える太陽光発電ですが、災害時の電力確保という点で安心をもたらします
停電時にも最低限の照明や通信機器が使えることで、避難せずに自宅での生活を継続できる可能性が高まります。
特に蓄電池と組み合わせることで防災力が大幅に向上します。
ただし、屋根の上にそこそこの重量のあるパネルが載るのですから、その重量を踏まえた、耐震の計算が必要になります。

 

 

腐敗対策

建物の構造体が湿気や水によって腐ると、地震時の強度が著しく低下します
適切な換気計画と防湿・気密工事、防腐処理された構造材の使用などで、長期的な耐震性能を維持することができます。
外からは見えない部分だからこそ、工務店選びと施工品質が重要になります。

 

 

シロアリ対策

シロアリ被害も構造材の強度を大きく損なう要因となります。多くの場合、シロアリは湿った木材のにおいに引き寄せられるため、腐朽対策とシロアリ対策は密接に関わっています。
とくに土台や柱が加害を受けると、建物全体の耐震性能が脆弱になります
防蟻処理やホウ酸処理、物理的なシロアリ侵入防止対策などを組み合わせることで、より安心な住宅に。定期点検も忘れずに行いましょう。

内装と外装の対策

内装では重い家具の固定や壁の強化、外装では屋根材の軽量化が有効です。
リフォームでは、瓦からガルバリウム鋼板に変えるだけでも、建物の重心が下がり、耐震性が向上します。
新築の場合は、瓦をのせる前提で耐震の計算を行う必要があります。
耐震のために、新築時に瓦をあきらめることはありません。
瓦には瓦の良さがありますからね。

また、外壁材の軽量化や落下防止処理なども、揺れへの備えとなります。美しさと安全性を両立させた設計が可能です。

ホームクリエたくみなら耐震等級の計算からおまかせ!

地震に強い家づくりを実現するためには、「耐震等級」の理解と適切な設計が欠かせません。
私たちホームクリエたくみでは、お客様のご希望や暮らし方に合わせて、耐震等級の計算からプランニング、施工まで一貫してサポートしています。
耐震等級13に対応した設計を行うだけでなく、地盤調査や補助金活用のアドバイス、保険面のご相談も可能です。

地域密着の工務店として、東広島市の気候や地盤特性にも精通しており、安心して長く暮らせる家づくりをお手伝いしています。地震だけでなく、台風や豪雨などの災害にも備えた「強くてやさしい家」を一緒に実現しましょう。

 

まとめ

地震に備える家づくりは、「将来の安心」を形にする大切な選択です。
耐震等級や構造の工法、基礎や地盤の強化、内装・外装の工夫、さらには保険や補助金など、多方面から備えることで大切な家族と資産を守ることができます。

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承っています。

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