STORY住まいのコラム

日本の冬は寒い

日本の冬は寒いというのは、気温が低いという意味ではなく、室温が寒いということ
長年、建物の断熱の考えがなく、冬は寒いのが当然と「我慢」して住んできたためだと思います。

どれぐらい、我慢しているかというと、国別で家庭一世帯当たりの暖房に使うエネルギーを比較すると、欧米諸国が日本の4~6倍、韓国も2倍以上使っています。
これは、家全体を温める欧米と、こたつでじっとして我慢する違いもありますが、冬の寒さをどうすればよいかわからなかったということも大きいと思います。

最近になってようやく、日本の建物も性能を示すようになってきました。ただ、その断熱性能は欧米諸国に比べるとまだまだ、低いものです。もともと、暖房費が少ないため、断熱工事に費用をかけても、将来の暖房費削減では元が取れないため、なかなか、断熱性能が上がらないのではないでしょうか。

暖房の使用量が極端に少ないうえ、断熱の性能は低い。これでは寒くて当然です。

では、家の中が寒いとどのようなことが起こるでしょうか?代表的なものが「ヒートショック」です。ヒートショックとは、急激な温度変化(温度差が10度以上でリスクが高まる)で体調が急変する現象で、入浴中の事故死だけで年間1万9千人以上の方がなくなっています。この数字は、交通事故死者の4倍以上。

このように、寒い家ではいろいろな弊害が起きます。冬の気温が日本に近いイギリスでは、16度以下の室温で呼吸器系の疾患のリスクが増加すると保健省が2010年に発表しています。そのため、イギリスの賃貸住宅では性能の低い建物の家主に断熱の性能を上げるための改修命令が出されることもあります。

しかし、日本の家の95%を占める寒い家の12~3月の平均室温は約11.5度。最も気温の下がる1月ごろには10度を下回っていると考えるのが妥当でしょう。
しかも、日本では、温暖な地域のほうが冬場の死亡率が増加する傾向が見られます。これは、寒い地域のほうが断熱の技術が発達しているからだと思われます。

ここで、一つ疑問が浮かびます。日本は世界有数の長寿国では?ということです。
確かに、日本人の平均寿命は男性80.21歳 女性86.61歳と長寿国といえます。
しかし、元気に自立して過ごせる「健康寿命」となると、男性71.19歳 女性74.21歳となり、9~12年は介護が必要な期間ということになります。
そして、要介護となる大きな要因に脳血管疾患や心臓疾患があり、冬の室内の寒さにより引き起こされると考えられます。

要介護となると、本人はもちろん、家族にも大きな負担となってしまいます。確かに断熱性能を上げる工事には、専門的な知識と、工事費が必要になりますが、冬場の死亡リスクやヒートショックのリスクを下げて、健康で快適な生活を送るためにも、日本の家の断熱性能をもっと上げるべきだと思います。

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